水産研究本部

ワカサギ:わかさぎ氷下網漁業

ワカサギ

漁業の情報

漁業許可等の区分第五種共同漁業権漁業(内水面)
主な操業地域北海道、特に道東の湖や河川
取材地オホーツク総合振興局管内網走市網走湖
漁場水深5~8メートル(網走湖)
漁具袋網の目合い2ミリメートル~4ミリメートル(もじ網)、網の長さ約180メートル、投入口から引き揚げ口までの距離200メートル、袖網左右約90メートル
漁期1月中旬~3月
漁船規模湖面結氷のため漁船は使用できないため、スノーモービルを使用
出荷形態鮮魚出荷 網走湖畔に2カ所の集荷場所を定めて出荷

対象魚の情報

標準和名ワカサギ
英名wakasagi、Japanese smelt
科目サケ目キュウリウオ科
学名Hypomesus nipponensis McAllister
俗名、地方名チカ
混獲魚なし
道内主産地網走湖、阿寒湖

漁業のすがた

網走湖のわかさぎ氷下網漁は、1月中旬から3月中旬までの冬季、湖が結氷している間に行われています。操業は安全性や作業効率を高めるため、3人1組の10班体制の共同経営方式で行われ、収益は全員で配分しています。漁獲されたワカサギは佃煮やイカダ焼きに加工され、網走の特産品として販売されています。
操業漁場の設定や網を仕掛ける方法は道東ならではの氷下の漁として、とてもユニークです。
仕掛け設置方法は図-1に示したように、まず、湖の沖側に投網場所を設定し氷に1メートル×2メートル程の穴を開けます(「網入れ穴」)。網入れ穴から左右両側へ、それぞれ約20メートル間隔で三角の穴を開け(「コマイ通し穴」)ロープを付けた板(「コマイ」と呼ばれる20メートルの長さの板)を氷の下を這わして、通し穴から通し穴へと順にロープを通して行きます。そして両側のロープとロープの間隔が180メートルになった所に「角穴」を開けロープを揚げておきます。(網入れ穴から両方向の角穴への広がりは、袖網を広げるためのものです。)
次に、角穴から陸に向かって斜め内側へ同じように通し穴を開けて行き、氷の下にロープを這わせて行きます。そして網入れ穴からの距離が直線で約200メートルになったところが「網揚げ穴」になり、両側のロープを揚げて固定しておきます。
操業は、まず網入れ穴で網をロープに結び投入し、両側の角穴で巻揚機を使ってロープを巻きあげ、袖網を広げます。その後、網揚げ穴からロープを巻揚機で巻き揚げ、氷下の網を曳き、最後に袋網に入網したワカサギを漁獲します。
各斑ごと図-2のように隣接した3カ所の仕掛けが設置されている漁場を2カ所持ち、網揚げ穴を変えながら1日6回の操業が行われています。操業は1シーズン同じ漁場で繰り返されます。
 

増殖と管理

ワカサギの資源を守るために、1日の引き網回数を6回、1日当りの漁獲量を600kgに決められています。
また、漁業者自ら積極的にワカサギ資源を増やすため、毎年春に6億粒~10億粒の人工ふ化放流事業を行っています。その他にも道内外に約40億粒の受精卵を移殖し、新しい漁業資源となっています。

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漁具・仕掛け設置図

氷下網:網走湖でのわかさぎ氷下網漁業は共同経営方式で行っており、3人1組になって漁を行っています。

スノーモービル:スノーモービルを使って漁具を運び漁場へ移動します。

巻揚げ機:ロープ、袖網、袋網を巻揚げる機械です。移動しやすいようにソリに備え付けています。

【図-1:仕掛け設置の穴(平面図)】:湖面の氷に、「A:網入れ穴」、ロープを通す「D:コマイ通し穴」、「C:角穴」、「B:網揚げ穴」を開け、仕掛けを設置します。

【図-2:漁場】図のように、各班ごと隣接した3カ所の仕掛けが設置された漁場を2カ所持っており、1日6回の操業が行われます。

操業

投網1:30~40センチメートルの厚い氷に「網入れ穴」を開けて、あらかじめ氷の下に這わしてあるロープに網を結びます。

投網2:網を投入します。

袖網を広げる:まず、網の投入口から斜め左右にある両側の「角穴」から巻揚げ機械でロープを巻取り、袖網を広げます。

網の巻揚げ1:網の投入口から200メートル離れた「網揚げ穴」で、巻揚げ機を使用して網を巻き揚げます。

網の巻揚げ2:ロープ、袖網の順にゆっくり慎重に巻揚げていきます。

網の巻揚げ3:袖網の先には漁獲物の入っている袋網があります。

袋網の引き揚げ業:袋網を人力で引き揚げます。魚が傷つかないように素早く揚げていきます。

網から漁獲物を出す:漁獲したワカサギを袋網から取り出します。

漁獲物1:漁獲されたワカサギです。

漁獲物2:ワカサギは佃煮やイカダ焼きに加工され、網走の特産品になります。

出荷

集荷所1:網走湖畔に2カ所の集荷場所があります。

集荷所2:スノーモービルを使って集荷場所までワカサギを運びます。

集荷1:集荷したワカサギは魚箱に移し、計量します。

集荷2:魚箱からこぼれないように慎重に。

計量:魚箱に移されたワカサギを、1箱ずつ計量していきます。

集荷されたワカサギ:1箱にワカサギは25キログラム入っています。

協力:オホーツク総合振興局管内/西網走漁業協同組合 ワカサギ振興会
取材:網走地区水産技術普及指導所 東部支所(現 網走東部地区水産技術普及指導所)

最終更新日:2013年03月01日