横浜市の住宅街を貫く首都高K7横浜北線に、馬場出入口が新たに開通します。地下50mの本線と地上をつなぐ出入口は、複数のランプウェーが「地中でとぐろを巻いている」という複雑な構造で、難工事の末に完成しました。
横浜北線の中間地点に3年遅れで馬場出入口が開通
首都高速道路が2020年2月27日(木)12時に、K7横浜北線「馬場出入口(横浜市鶴見区)」を新設します。これを前に2月18日(火)、報道陣へ公開されました。
横浜北線は、K1横羽線およびK5大黒線に接続する生麦JCTと、第三京浜に接続する横浜港北JCTとをつなぐ8.2kmの路線で、2017年3月に開通しています。今回、本線から3年遅れで開通する馬場出入口は、横浜北線のほぼ中間に位置しており、生麦方面と港北方面の双方へ行き来が可能です。
加えて、3月22日(土)に横浜港北JCTと横浜青葉JCTとをつなぐ横浜北西線が開通するため、馬場入口周辺地域から東名高速へのアクセスも容易になります。
馬場入口の料金所をすぎると、第三京浜方面と湾岸線方面への分岐がある(2020年2月18日、中島洋平撮影)。
馬場出入口の周辺は高台の住宅街であり、首都高速道路によると、おもに近隣住民の利用を想定しているとのこと。
「馬場出入口の周辺は道路が狭いこともあり、ここに出入口を設けることで、地域の交通環境の向上に資する目的があります」(首都高速道路 神奈川建設局 事業調整担当課長 橘 剛志さん)
なおこの馬場出入口、出口については現金利用のクルマも通れますが、入口については首都高で初となる「ETC専用」になっています。その理由について首都高速道路は、ETCの利用率が首都高では96%まで達していることに加え、料金所の前後で分岐・合流が存在し、急カーブかつ急勾配も連続することから、安全面を考慮したと説明します。
実際に現地へ臨んでみると、難しい工事の末に完成した複雑な構造の出入口であることが見て取れるでしょう。
地中でトンネルがとぐろを巻く複雑構造
馬場出入口について首都高速道路は、複数のランプウェーが「地中でとぐろを巻いているような構造」と説明します。限られたスペースのなかで、地下およそ50mを通る本線と地上をつなぐ4本のトンネルが、それぞれ弧を描きながら複雑に立体交差しているのです。
それぞれのランプウェーは、ループ状の構造で高低差を埋めているため、カーブは最小半径50m、勾配は最大8.1%に及ぶとのこと。これは、地下のC2中央環状線と高架の3号渋谷線とをつなぐ大橋JCTのランプウェーと、ほぼ同等の値だそうです。首都高速道路の橘さんによると、用地の広さも大橋JCTとほぼ同じであることからも、「『大橋JCTの神奈川版』と言えなくもない」といいます。
また、各ランプウェーは本線トンネルと同じく、巨大な「シールドマシン(掘進機)」で掘りぬかれましたが、本線トンネルとの間隔は最小でわずか35cmだそうです。この条件で本線トンネルに影響を与えずにランプウェーを構築すべく、安全の確保に時間を要したそうです。
ランプウェーは本線の合流部へ向かって下り坂が続く(2020年2月18日、中島洋平撮影)。
こうして誕生したランプウェーにも、本線トンネルと同等の安全設備があります。25mごとに自動火災検知器、50mごとに消火器や消火栓が設置されているほか、ランプウェー内の様子はテレビカメラを通じて指令所から24時間監視されています。また、本線では車道の下が避難路になっていますが、ランプウェーでは車道側壁を隔てて避難路が設けられており、非常時はここを通じて地上へ出られます。
ちなみに、馬場出入口の総事業費は約310億円です。
なお、一般道との接続部は大きくわけて、料金所を挟んで北側と南側の2か所に設けられますが、今回は北側のみが開通します。南側は、接続する神奈川県道大田神奈川線の4車線化が完成したあと、2020年内に開通予定です。